今日も
特別養護老人ホームでの介護の現場で教えてもらったこと。
大好きだった
認知症の方との出来事です。
帰宅願望が強い認知症の特養の入居者さんへの対応
その方は
長年働いて来た方。
お名前は、あーさん(仮名)。
あーさんは、
身体はお元気です。
腰は曲がっていますが
シャキシャキと歩きます。
だけど
認知症の症状で
今起こったことの記憶がどんどん抜けていきます。
昔の記憶はあるのですが、
なぜ、今ここにいるのかもわからず
不安になってしまうのです。
そして
いつも
「助けてー。助けてー。」
「家に電話してー。」と
何度も何度も、必死に訴えます。
職員は
さすがに電話してあげることはできなくても
そばにいてあげることはできます。
そばにいると
「ずっと、ここに、一緒にいてなぁ…」と
すごーく優しい笑顔で
穏やかに言ってくださるのです。
その笑顔は職員を癒してくれる笑顔です。
ただ、職員も
ずっとそばにいてあげられる訳ではありません。
職員がそばにいなくなると…
また、元通り…。
叫ぶわ、
落ち着かないわ…。
いわゆる
認知症による
帰宅願望といわれる行動
です。
帰宅願望が強いあーさんがついに家に帰ることに!!
そこで
介護職員とご家族で
いくらかでも
穏やかに過ごせる時間を設けようと
ご自宅に数時間の外出をしてみようという
話になりました。
あれほど
帰りたい、帰りたいと
毎日、毎日、必死に訴えていた場所。
どんなに穏やかに過ごしてくるんだろうと
期待して
外出に送り出しました。
あーさんは
ついに、念願叶い
満面の笑みでご自宅に向かいました。
数時間が経ち
施設に戻ってこられた
あーさんのご家族に
ご自宅での様子を聞いてみました。
久しぶりにおばあちゃんが
帰ってくるということで
孫たちや親戚が集まって
それはそれは
穏やかな和やかな
お茶の時間を過ごせたということでした。
たとえ、忘れてしまうとしても
そういう時間を過ごせたことは
職員にとっても
とても嬉しいことでした
ところが、
家の人たちや
孫さんたちが、
それぞれ、
そのお茶のみの場所から
席を外すと……。
いつもの
施設の中にいるあーさんに
戻ってしまったそうです。
「家に帰らせてー」
「家に電話してー」
「助けてー」と
自宅の中を、落ち着くことなく
頼み続けて行動したそうです。
あれだけ、帰りたがっていた自宅なのに‥!!
帰宅願望の奥にある想い…
このとき、
職員も家族も
ようやく気づきました。
あーさんが
帰りたがっていたのは
家という建物ではなかった。
自分を認めてくれる
自分に寄り添ってくれる人がいる
居心地のいい場所
自分が安心していられる場所を
求めていたんですね。
認知症の方が
不安で落ち着かなくて
帰宅願望という行動や
徘徊といわれる行動をとることがあります。
それは
ただただ
わからなくなったから
さまよい続けている訳ではなく。
自分を認めてくれる場所を
自分が居心地いい場所を
求めているからこそ
行動していると思うのです‥。
子どもも大人も
認知症の方も
寄り添いを
求めているのかもしれないですね。。。